RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成​は、SmartWebのAIチャットボットAIメール回答作成が高精度な回答を生成するための核心技術です。

RAGとは何か

従来のAIの問題点

従来の大規模言語モデル(LLM)には以下の問題がありました:

問題説明
ハルシネーション学習データにない情報を「それらしく」捏造してしまう
情報の古さ学習時点の情報しか持たず、最新情報に対応できない
固有情報の欠如御社の製品・サービス固有の情報を知らない

RAGによる解決

RAGは「検索」と「​生成」を組み合わせることで、これらの問題を解決します。

ポイントは、事前にナレッジを登録・インデックス化​しておくことです。AIは質問を受けると、この登録済みナレッジの中から関連情報を検索し、その情報を基に回答を生成します。リアルタイムでWebサイトを検索するわけではありません。

flowchart TB
    A(顧客の質問) --> B(登録済みナレッジを検索)
    B --> C(関連情報を取得)
    C --> D(情報を基に回答を生成)
    D --> E(正確な回答を出力)
    
    style A fill:#ffffcc
    style B fill:#cce5ff
    style C fill:#cce5ff
    style D fill:#ffcccc
    style E fill:#ccffcc

図:RAGの処理フロー(黄色:入力、青:検索フェーズ、ピンク:生成フェーズ、緑:出力)

注意: 「検索」とはインターネット検索ではなく、FlowHuntに事前登録されたナレッジソース内の検索です。

RAGの仕組み

Step 1: 質問の理解

顧客が質問を入力すると、AIは質問の意図を分析し、検索に適したキーワードやコンセプトを抽出します。

Step 2: 登録済みナレッジの検索(Retrieval)

事前に登録・インデックス化されたFlowHuntのナレッジソース(Schedules、Q&A、Documents)から、質問に関連する情報を検索します。

重要: この検索は、リアルタイムでインターネット上のWebサイトや外部ドキュメントを検索するわけではありません。あくまでFlowHuntに事前登録されたナレッジの中から検索します。

  • ベクトル検索: 意味的に類似したコンテンツを高速に検索
  • キーワード検索: 特定の用語や製品名で検索
  • ハイブリッド検索: 両方を組み合わせた高精度検索

Step 3: コンテキストの構築

検索で見つかった関連情報を整理し、回答生成に必要なコンテキストを構築します。

Step 4: 回答の生成(Generation)

LLMが検索結果を基に、自然で正確な回答を生成します。

重要: LLMは「自分の知識」ではなく「検索結果」に基づいて回答するため、ハルシネーションが大幅に減少します。

RAGのメリット

1. ハルシネーションの防止

従来のAIRAG搭載AI
学習データから推測して回答検索結果に基づいて回答
存在しない情報を生成する可能性ナレッジにない場合は「わからない」と回答
回答の根拠が不明確回答のソースを特定可能

2. 最新情報への対応

ナレッジベースを更新すれば、AIの回答も即座に更新されます。LLMの再学習は不要です。

3. 御社固有の情報に対応

製品マニュアル、FAQ、社内文書などをナレッジベースに登録することで、御社固有の質問にも正確に回答できます。

4. コスト効率

LLMのファインチューニング(追加学習)と比較して、RAGは以下の点で効率的です:

項目ファインチューニングRAG
情報更新再学習が必要ナレッジ更新のみ
コスト高い低い
反映速度数日〜数週間即時
専門知識必要不要

SmartWebでのRAG活用

対応機能

機能RAG説明
AIチャットボット顧客への自動回答にRAGを使用
AIメール回答作成(Composer)メール返信の下書き生成にRAGを使用
AI回答アシスト(Improver)-入力テキストの改善のみ(検索なし)

ナレッジソースの重要性

RAGは「事前に登録されたナレッジ」から検索する仕組みのため、登録されていない情報には回答できません。そのため、RAGの精度は**​ナレッジベースの品質**に大きく依存します:

  • 網羅性: よくある質問をすべてカバーしているか
  • 正確性: 情報が正確で最新か
  • 明確性: 文章が明確でAIが理解しやすいか

詳細は「AIの学習方法」をご覧ください。

RAGの限界と対策

限界1: 登録されていない情報への質問

RAGは事前登録されたナレッジから検索するため、登録されていない情報には回答できません。インターネット検索のように、その場で外部情報を取得することはできません。

対策:

  • 「お問い合わせフォームからご連絡ください」などのフォールバック回答を設定
  • 有人オペレーターへのエスカレーション機能を活用

限界2: 検索精度の影響

検索で適切な情報が見つからないと、回答品質が低下します。

対策:

  • ナレッジベースの構成を最適化
  • 同義語・類義語を考慮したコンテンツ作成
  • Q&Aで重要な質問パターンを網羅

限界3: 複雑な推論

複数の情報を組み合わせた複雑な推論は苦手です。

対策:

  • 複雑な質問は有人オペレーターにエスカレーション
  • 想定される質問パターンをQ&Aに事前登録

まとめ

RAG技術により、SmartWebのAIは以下を実現しています:

特徴効果
高精度ナレッジに基づいた正確な回答
最新性ナレッジ更新で即座に反映
カスタマイズ御社固有の情報に対応
信頼性ハルシネーションの大幅削減

RAGの効果を最大化するには、ナレッジベースの品質管理が重要です。定期的なコンテンツの見直しと更新をおすすめします。

関連情報